元気なシニアの増加で新しい市場が続々と
一般のウィッグではなく、医療用ウィッグについて知る機会に恵まれました。私は広告代理店に勤めていて、広告制作や企画・PRの仕事に従事しています。
最近では少子高齢化の影響を受けて、シニア向けの製品開発が市場を賑わせていますが、クライアントの発注を受ける中でとくに傾向として印象に残っているトレンドというのは、「65才を過ぎ、75才になっても元気なシニアが多い」ということです。
男女の比較で言えば、女性のほうが活発で積極的。何事に対してもチャレンジ精神が旺盛なのが女性だと思っています。このようなシニアが増えると、アパレルでも菓子や飲料メーカーなどでも、それ用の開発競争が活発になり市場がいっそう元気になります。
消費を牽引するのは女性の消費者ニーズと言われていますが、そのうちの3割から4割は60才代以降の女性であるというマーケットデータが手元にあります。
それでいま、医療用ウィッグについての詳細な市場調査と企画開発のためのコンセプト出しを会社から命じられています。活発で若々しい女性の高齢者を応援する目的で、新しい感覚の医療用ウィッグを開発したいというのが、クライアントからのオーダーの主旨です。
ファッション用ではなく医療用というところにミソがあります。このクライアントさんはソーシャルビジネスの一環としてウィッグの開発を手掛けたいそうで、「規範となるような既存の会社がないか探して欲しい」というのがもう1つのオーダーにあります。
コストカットの仕方こそ今後の企業成長のカギ
そのような依頼をもとにウィッグメーカーを調査していったところ、「アンベリール」という会社に行き当たりました。際立ったのは製品の価格設定で、職人さんやスタッフ総がかりの入念な手作業の割には、28000円程度の値付けを実現しており、損益分岐点でいえばギリギリを超えたところまで来ているのではないかと思えるほどです。
同社の商品サイトにも概略が紹介されていますので詳細は省きますが、他社メーカーの医療用ウィッグの商品価格帯にくらべると、通販主体という同条件の中でもかなりの努力プライスです。
無駄なコストをどのように算出してカットするかが経営者の手腕ではありますが、材料費・原材料費の高騰などがある中、仕入れの値上がり分を吸収して販売価格を据え置くのは並大抵のことではないと想像できます。アンベリールさんの他にも数社の候補がありますが、近く取材交渉をして、実際にどんな経営体制を敷いているのか、激しい価格競争に打ち勝ってなおかつ一定以上のクオリティ維持を実現する秘訣はどこにあるのかなど、詳しくお伺いしたいと思っています。
絶対数の少ないニッチな市場の中で、コツコツと努力を重ねて信頼を獲得していることに、女性として敬意を払いたいと思います。新しい耳より情報が出ましたらまた報告させていただきます。