モノづくりにかける努力やコストをどう評価する?

私たちは普段から、“欲しいものを買おうとするとき、自分にとってどこまで価値のある商品か”を考えて選択しています。そしてその価値と価格はイコールになっていて、価値があるなら高くても買う。価値があって、安いなら買うと判断しています。

ところが、この価値には抜け道があり、それほど高付加価値ではないのに、価値のある商品だと思い込ませてしまうことができます。たとえばその商品を所有していると人から羨ましがられるからという理由だけで買ってしまっています。

メーカーの側からみれば、イメージ戦略やブランド戦略が成功して、うまく消費者にモノを買わせることができた瞬間です。しかし果たしてそれで良いのでしょうか?商品の本質的な良さを見抜くという意識、抜け落ちていませんか?

この商品なら大丈夫、このメーカーなら間違いないという気持ちだけで、高い価格の商品を受け入れてしまっている可能性があります。またそれとは逆に、安ければいいという消費行動が、価格競争に拍車をかけているとも言えます。

これでは、メーカーのモノづくりにかける努力や本来のあるべきコストは度外視され、職人の修練された高度な技術や経営者・スタッフの努力も、あまり意味のないものになってしまいます。

偏った主義を改めて本質を正しく見抜いた評価を

とくに、医療用ウィッグのように、医療と深く関わっている商品は、自分の価値観や価格の高低だけで決めてはいけないものだと考えています。偏りすぎた自分にとっての価値やブランド主義、安ければいいという価格優先主義をリセットセットして、モノの本質をもう少し捉え直すべきではないでしょうか。

医療用ウィッグを選ぶときの3原則、

  1. 価値観
    きれい、美しい、ブランド力など自分なりの価値観も大事だけれど、それ以上に、自分の力を引き出してくれるウィッグかどうか、機能性を正しく評価する必要がある。
  2. 価格
    安ければそれでいい、高ければ高級品=高品質という見方・買い方はどちらも間違えだったり偏った見方だったりする。「適正な価格」をつねに考えてみる習慣を。
  3. 本質
    機械化して大量生産に踏み切ると、機能性の大半が損なわれてしまうのが医療用ウィッグ。手作業と修練された技術があってこそという本質を基準に考えるべき。

仮に医療用ウィッグメーカーの経営者が、「無駄な努力はやめて、イメージ戦略だけで感覚的な価値を上げよう」、または「お金のかかるイメージ戦略もやめて、ソコソコの品質のところで評価されていればいい」とそんなふうに方針を切り替えたら、医療用が不可欠な私たちはどうしたら良いのでしょう。

モノの価格は、消費者にとっての価値観やメリットだけでできているものではなく、その会社やメーカーに勤めるスタッフの努力代のほうがずっと大きいのです。“会社やメーカーに勤めるスタッフの努力代”というのは、平たく言えば人件費のことです。

おそらくコストカットの名手と言われる通販の医療用ウィッグメーカーでも、これ以上カットできるものはない状態にきているでしょう。医療用ウィッグの利用者が自分にとっての価値や価格にのみ評価のポイントを置いていてはいけないのです。