そんな値段でレアな人毛100%のウィッグが?
価格の比較サイトで医療用ウィッグの値段を調べてみると、人毛100%で2万円を切るようなウィッグが出てきます。人毛とは本来ヴァージンヘアのことなので、小中学生、高校生を対象とした何も手を加えていない髪の毛を使います。
したがって絶対数が限られており、貴重な存在です。市場での取引価格も高いので、当然ですがそれを使った医療用ウィッグの末端価格は高価な製品となります。2万円を切るような価格でヴァージンヘアのウィッグが提供できるとは、とても考えられません。
人毛100%の医療用ウィッグってホント?と思える理由
- ヴァージンヘアは非常にレアなので、業界内での卸売り価格自体が高い。
- 仮に2万円弱の末端価格で医療用ウィッグを販売しようとすれば、人毛髪を含む材料費はすべてあわせて7千円弱。
- 材料費7千円+人件費7千円+経営に必要な維持費7千円=2万1千円。これだけで2万円は超えてしまう。
- 上の式で試算しても利益は含まれていない。仮に上の式に利益7千円を加えると、総合計で2万8千円となる。
- 2万8千円でも無理な価格(試算)なのに、それでも2万弱で販売できるのは、人毛やヴァージンに問題がある可能性が大。
医療用のウィッグにはもっと大切な要件がある
人毛とは先にもお話ししたように定義があります。「毛染めや脱色をしていない」、「美容室などでカット、トリートメントを受けているだけでもNG」。いわゆるノンダメージのヴァージンだけがウィッグ用として取引されます。
しかし、ヴァージンヘアの定義から外れた髪の毛でも人毛には違いないので、傷ついた毛でもカラーリングした経歴のある毛でも売買できます。そうした毛なら安く大量に仕入れられるので、販売価格が2万円を切るものでも製作可能かもしれません。
人毛にも色々な種類やレベルがあることを知っておくべきです。また、そのような人毛であっても品質や性能にどんな差異が出るかは、実際に使ってみなければわかりません。さらに言えば、医療用ウィッグは、闘病中の使用期間が1年程度なので、ある程度の耐久性があればいいと割りきるのも1つの考え方です。
価格比較サイトで医療用ウィッグを選ぶときは、医療用に限定して比較することが大事。次に価格は安ければよいという選び方は間違え。ヴァージンの人毛で総手植えなら価格はそれなりに高くなります。店舗での購入でなく通販なら8~10万円もあれば品質や機能は十分。
通販はコスパ体質なので価格に無駄がありません。さらに人毛100%は耐久性に劣り、パサパサになった髪の修復は不可能などの弱点があります。その意味では、人毛と人工毛のミックス毛を選ぶのが正解。
100%であることと高級であること、耐久性が良いこと、医療用ウィッグに適していることとは、必ずしもイコールではありません。価格が高くなる理由は行程の大半が職人の手作業だから。そのようなことを知っていれば、人毛にこだわる必要はありません。