医療用ウィッグを買うならソコソコの価格という理由

世の中にはいろいろな商品があるけれど、医療用ウィッグだけはいまだに価格の内訳が不明瞭で、高価な医療用ウィッグは高値のままで値下がりはしません。格安のウィッグは医療用ではないにしても、どんどん格安化が進んでいます。他の業界の価格競争にあるように“消費の二極化”が顕著になっていくのでしょうか。

そんな中で、安くもなく高くもなく、「医療用ウィッグ8万円台」という中間価格帯がウケているという情報が業界関係者から入ってきています。その理由はどこにあるのでしょう。詳細な市場調査を行なった後の結果ではないので、以下は推測の域を出ませんが、次のような消費者心理が働いているのではないかとのことです。

  • 低価格の医療用ウィッグでは、縫製や髪の毛の自然な仕上がり感などに問題があり、着けていることがあからさまになってしまう。
  • 医療用ウィッグの利用者は、ウィッグがバレるということに、普通以上の神経を使うので、知っている人は総手植えか部分的にでも手植えの製品を求める。
  • ファッション用ではないので高額品やブランド品である必要はないが、ソコソコの機能性や品質が必要なことはよく知っている。
  • 闘病期間に限定した必需品だと割り切っている。耐久性や復元力が大事だということも知っている。
  • 実用的でリーズナブルな価格帯「8万円台のウィッグ」が通販で売っていることを知っている。SNSで拡散しているのではないか。

医療用ウィッグの購入で苦い経験がある人たちが選ぶ

上記のようなところから推測すると、中間価格帯の“ソコソコの医療用ウィッグ”を購入する消費者はビギナーではなく、ウィッグ購入歴のある女性たち。それまでの間、ウィッグの購入でいろいろ苦い体験をした結果、自然と「8万円台=ソコソコ品質=通販」という結果にたどり着いたのではないかと先の業界関係者は分析。

  • 過去に医療用ウィッグの購入で失敗した女性たちが、中間価格帯の需要増の主役になっている。
  • 通販のコストカット体質を良く知っている。店頭製品の3分の1の価格で、同レベルの品質・機能が手に入る体験をした。
  • 体験は口コミで広がり、こうした中間価格支持者が増え出した。彼女たちはコストカットの詳細もサイトで確認済み。

よく言われることだが、通販は無店舗経営なのでコストカットしやすく、仮に8万円台の医療用ウィッグだとすると、同等品質の製品が店頭価格では24万円程度はしてしまう代物。市場の3分の1で販売しても何とか利益をひねり出せるというのが通販の強みだ。

なぜこんなに安くて高品質なのか、ネット上には、そのコスト低減の詳細を明かしている医療用ウィッグ専業のメーカーも多い。いまどきの消費者はそうした情報を隅々まで読んでいる可能性が高いとも話していた。

どんな製品が支持を受けるのか、医療用ウィッグの業界はまだ混沌としているが、中間価格帯が一歩抜けだし、二極化ではない新しいボリュームゾーンを形成していることは確かです。