イメージに流されやすいのは「中年のオバサン?」

心理学者でメーカーの商品開発も担当している“その道のプロ”と言われている人が、テレビのバラエティー番組に出てこんなことを言っていた。「世代的にみてイメージに流されやすいのは中年のオバサンで、ブランドものなら価格が高くても買ってしまう。高ければ品質もいい、ブランドものなら安心と思っている」と。こういう世代の人は、メーカーにとってもっとも都合のいい存在なのだそうです。マーケット的に言うと消費者心理という商品戦略にハマってくれる人で、一度製品がヒットすると、“似たような製品をシリーズ化しておけば3年は売れる”のだそうです。

実は私もその口で、典型的な“中年のオバサン”でした。ブランド至上主義で、家の中には世界の有名ブランド品が山積みになっていますが、箱から取り出して使っているのはごく限られた製品。そのことに気づいたのは、私が抗がん剤治療で医療用ウィッグのお世話にならなければいけない身の上になったときです。医療用のウィッグは、それまでの製品と違って“有名ブランド”というような、飛びぬけた絶対的カリスマ製品はありません。誰もが使うものではない、ごく限られた人のためのものなので当然ですが。それで、その日から私の“消費者心理”は脱・ブランドに切り替わっていったのです。

合理的で自己チューがいい「若い世代」を見習え

その心理学者は、「若い人は合理的で自己チューだから、商品開発がたいへんで、きっちりいまどきの女子の使い心地にフィットしていないとダメ。しかも多様化しているので大量生産できない」と語っていました。ジャンルは違いますが医療用ウィッグなどはその代表のようなもので、「ブランドものだからいい、価格が高いからいいもの」という消費者心理で選んでいたら泣きをみることになります。

逆に言えば「安くても機能的に充実していて、脱毛した頭をしっかりサポートしてくれる高性能なウィッグならOK」という見方をするのがいい選び方なのです。

「こんなに機能がついてこの価格!」

「ここがしっかりしているからズレないんです!」

「独自の技術でサイズ調整を可能にしました!」

「汗をかいてもウィッグの中は蒸れません!」

「お好みにあわせて調整や修正、ヘアカットも無料です!」

「無駄を省いてコストカット。だからこのお値段を実現!」

「どんなご相談にも親身になってお応えします!」

こんなキャッチフレーズがたくさんある医療用ウィッグの広告なら、まず間違いないと思います。

医療用ウィッグでもっとも大切な機能のことをきちんと言っている、

サポート体制のことも言っている、

なぜ安いのか、製品の価格の理由もちゃんと言っている、

これからは安易にイメージで選ぶのではなく、消費者心理につられてしまうのでもなく、きちんとした見方と姿勢で製品を選びましょう。そうすればもっと良い実質本位の製品が世の中にたくさん出てくるようになります。