3倍以上の価格の開きは不自然じゃないの?

医療用ウィッグの値段は高くて当たり前と思っていたので、最初にネットの口コミで3万円台、5万円台のウィッグが医療用でもあるというのを知ったときはホントに驚きました。

それにしても納得がいかないのは、通販の医療用とリアル店舗で売っている医療用ウィッグの値段の開き方です。通常の感覚で言えば、同じような商品やサービスが、ネットでは10%~20%ほど安くなるのは感覚としてわかりますが、医療用ウィッグで比較すると、軽く3分の1よりも安い値段で売られています。

ウィッグの価格とはいったいどのようにして決められていくのでしょうか。

通常の価格構成は、「原価(原材料費)+加工費+人件費+販売管理費+維持費=商品価格」といったもので、その合計に利益をのせた形で決まっていきます。

このうちでもっとも経費がかさむのは人件費で、安物の粗悪品であれば、原材料費を削減するために質の悪い材料を仕入れて手抜きをしながら加工する(薄利多売で数を多く出荷して儲ける)ことになります。

価格の安い医療用ウィッグがそうなら納得もいくのですが、最近の“安さが売りの通販ブランド”は、「価格が低くて質は高い」というのがもっぱらの噂になっています。省エネやコストカットをしても限界があるはずなのに、どうやって3割以上の安さを実現しているのでしょうか。

やれることはすべてやっている。もう限界なのかも?

ここに質が良くて価格は低いという製品を実現させるヒントがあります。いわゆる内製比率と外製比率の見直しです。

原材料費や人件費だけではコストカットに限界があるので、製造過程のうちで外部に委託する部分を極力少なくして、できるだけ社内で多くのプロセスを消化しようという考え方です。

メーカーの下請け会社の仕事はそのぶん減ってしまいますが、外注費は圧縮することができます。また小さなことですが、外注費を減らすと輸送コストなども合理化できて、支出を小さくすることができます。

ネットでは激しい価格競争に陥っていることもあって、品質や機能を落とさずにどこまでコストを下げられるかが命題になっています。また単なる安物と勘違いされないために、ホームページ上でコストカットや価格還元のプロセスを詳しく説明している通販会社も増えました。

ただ安くしただけではユーザーの信頼を勝ち取ることはできない時代、余分なコストを削減して、それでは勝てなくて内製比率をあげ、最後には流通コストの見直しまで行って合理化を図る、そのプロセスをホームページ上で詳しく説明しないと支持は得られない~。

メーカーからしてみれば、やれることは全部やった、もうこれ以上は限界だというところまできているのではないでしょうか。